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2015年7月、首相官邸の屋上に墜落したドローンが発見され、話題になったことは記憶にあると思います。

これまで、無人航空機(ドローン)による事故はありましたが、日本政府はこれを重くみて、急遽国土交通省航空局がルール作りに着手し、無人航空機に関する規定を追加した改正航空法が2015年9月に成立、12月から施行されました。

本記事では、改正航空法により無人航空機の飛行規制がどのようになったのか、また将来の無人航空機の発展のために行っている政府の動きを紹介します。

なお、法律や政府では無人航空機あるいは小型無人機と呼ばれていますので、本記事では引用で使用されている言葉を使用します。

改正航空法による無人航空機への規制

無人航空機の定義[i]

改正航空法により対象となる無人航空機は、「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの(200g未満の重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)のものを除く)」です。

いわゆるドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等が該当します。

したがって、従来は模型飛行機としていたラジコン航空機も重量が200gの非常に小型のものを除き、無人航空機に該当するようになりました。

無人航空機の飛行規制[ii]

以下の空域で無人航空機を飛行させる場合、国土交通大臣の許可が必要になります。

飛行禁止
  • 空港周辺
  • 地表または水面から150m以上の高さの空域
  • 人口集中地区の上空

さらに、以下の飛行による場合は、国土交通大臣の承認が必要です。

飛行許可
  • 夜間での飛行
  • 目視範囲外、無人航空機の周辺を常時確認できない飛行
  • 人又は建物、車両などの物件との間に距離(30m)を保てない飛行
  • 祭礼、縁日など多数の人が集まる催し場所の上空での飛行
  • 爆発物など危険物を輸送する飛行
  • 無人航空機から物を投下する飛行

なお、許可、承認は、飛行の10日前までに申請書を提出する必要がありますが、申請書に不備があれば再提出しなければなりませんので、できる限り早めに申請することをおすすめします。

また、無人航空機の飛行要件として以下の項目があり、申請時に提示する必要があります。

安全飛行
  • 無人航空機の機能及び性能に関する事項
  • 飛行経歴並びに無人航空機を飛行させるために必要な知識及び技能に関する事項(10時間以上の操縦経験が必要)
  • 安全を確保するために必要な体制に関する事項
  • その他参考となる事項(保険の加入状況等)

さらに、自動車の運転と同じようにアルコールまたは薬物の影響下での無人航空機を飛行させることはできません。

罰則規定

許可や承認を受けずに飛行規制されている空域を飛行させた場合、50万円以下の罰金が科せられることがあります。

また、アルコールや薬物の影響下で飛行させた場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

くれぐれも、酔った状態で無人航空機を飛行させることはやめましょう。

将来の小型無人機の活用に向けた政府の動き

小型無人機の飛行レベル

首相官邸での政策会議には小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会が開かれており、飛行レベルに対応してレベル1からレベル4に分けられています[iii]

  • レベル1:目視内での操縦飛行
  • レベル2:目視内での自動・自律飛行
  • レベル3:無人地帯での目視外飛行(補助者の配置なし)
  • レベル4:有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)

無人地帯とは、第三者が立ち入る可能性の低い場所(山、海水域、河川・湖沼、森林等)を示し、事前に許可・承認を得ることで飛行が可能となっています。

しかし、現在では、目視外及び第三者上空での飛行を可能とするための環境整備が整わされていないため、レベル4の飛行については、安全性のみならず、騒音やプライバシー等の生活環境への配慮のための技術開発や法的環境整備が急務となっています。

政府としては

「小型無人機(ドローン)について、2022年度を目途に有人地帯での目視外飛行による荷物配送などのサービスを可能にするため、福島ロボットテストフィールドを活用した運航管理システムや衝突回避の技術開発等を進めるとともに、認証制度などの機体の安全性確保制度や、操縦者・運航管理者の技能確保制度、複数のドローンの運航管理制度、機体・所有者情報等の登録制度、被害者救済の在り方等を含む制度設計の基本方針を2019年度中に決定する。[iv]

とし、政府内で議論が勧められています。

おわりに

無人航空機(ドローン)を取り巻く現状の法規制や規制下での注意点、および将来に向けての環境整備の政府の取り組みについて紹介しました。

近い将来には、災害地域や町中を無人航空機(ドローン)が飛び回り、社会にとって不可欠なものとなっていくことでしょう。


[i] 国土交通省ホームページより、https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000040.html

[ii] 国土交通省ホームページより、https://www.mlit.go.jp/common/001303819.pdf

[iii] 首相官邸ホームページより、https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kogatamujinki/pdf/siryou10.pdf

[iv] 首相官邸ホームページより、https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/portal/mobility/policy.html